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アルツハイマー型認知症の方の脳に直接「電気ショック」を与えて、記憶力が15%も改善したという研究論文がアメリカから発表されました。

今回の実験では、「脳の言語処理」や「新しい記憶の生成」に関して重要な働きをする側頭葉に電気ショックを与えるというものだそうです。
モニター画面に2秒間ほど、12の単語が映し出され、簡単な計算問題を解いてもらい、先ほどの単語が思い出せるかテストをした結果、電気ショックによって記憶力が15%も改善するという結果を得たそうです。

日本では統合失調症や重度のうつ病で「電気けいれん療法」が行われる場合があります。これは、頭部の皮膚に電極をあて、通電させて人為的にけいれん発作をおこさせるものです。

実は私の家内が「統合失調症」のような症状を発症し、4ヶ月ほど入院した時、この「電気けいれん療法」が行われ、劇的に症状が改善したのです。全身麻酔をするため、そのリスクと、電気ショックにより記憶が部分的に無くなる可能性やリスクが医師から説明され、たくさんの書類に署名して「電気けいれん療法」が行われました。

本当にたくさんの薬を試したのですが、改善することが無いため、担当医師の薦めで行ったのですが、こんなにも効果があるとは思ってもみませんでした。家内が奇跡的に精神病院を退院できた時の話は、また、別の時にいたしますね。

話しをアメリカでの実験に戻しますが、アルツハイマーの治療に、電気ショックが使えないかという実験は、実はだいぶ以前から行われていたそうです。
しかし、今回の実験は、「単語を思い出せない」時に電流を流すという方法(クローズド・ループというそうです)を用いたのだそうです。

普段の状況で、電気ショックによって認知症が改善しないかという実験(オープン・ループというそうです)は以前から行われていたそうですが、大した効果はなかったのでしょうね。
アルツハイマーの場合、脳の細胞が死滅してしまうため、いくら電気を与えても改善は期待できません。しかし、今回の実験では、側頭葉に電気ショックを与えた点と、クローズド・ループを用いた点で画期的だったのだと思います。

人間の脳は「10%しか使われていない」なんて良く言われますが、残された脳が活性化されて、死滅してしまった脳細胞の代わりに働いてくれたらと、そんな夢のようなことを考えてしまいます。

たとえば目が不自由になった時に、聴覚が研ぎ澄まされるとか、そんな話しを聞いたことがあります。介護の世界でも「残存機能の活用」という言葉を良く用いますが、残された器官を十分に発揮させ、失われてしまった器官を補うことは重要なことです。

脳の役割はその部分によって分かれています。ですから、記憶をつかさどる「海馬」の領域を損傷してしまった場合、記憶障害を起してしまいますが、残された側頭葉によって代替的に機能しないものなのか。今後の研究に期待したいですね。