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映画で学ぶ認知症の第2弾として、今日は、秋吉久美子さんが主演された、「わたし」の人生(みち)を取り上げたいと思います。

この映画では、英文学の学者が認知症にかかります。このあたりは前回紹介した「アリスのままで」とシチュエーションが似ていて、「学者」として名声を博していた人が、認知症にかかって、その蓄積されたすべてを失っていく姿に人々は強いインパクトを覚えるのかも知れませんね。

この男性は「物忘れ」がひどくなるのではなく、急に警官に殴りかかったり、路上で女性に抱き着いてしまうなどの異常な行動を起こすようになります。アルツハイマーではなく、前頭側頭型認知症を扱ったのがこの映画の特徴です。

アルツハイマーが「海馬」と呼ばれ「記憶」を司る領域の脳細胞が破壊されてしまうのにたいして、前頭側頭型認知症は、前頭葉と側頭葉の神経細胞が少しずつ破壊されていく病気です。
そのため、はじめは性格の変容や異常行動がみられますが、「性格が変わった」のかと思われるくらいで、認知症とは気づかれないケースが多いようです。

さすがに、警官に殴りかかったり、路上で女性に抱き着いてしまうなどの症状が現れると、これは何かおかしいと気が付きますが、この映画ではアルツハイマーとはまた違った認知症の恐ろしさをうまく描いた作品ですね。

この前頭側頭型認知症では、主に5つの特徴があり、他の認知症と区別することができます。

1.反社会的行動

人の物を勝手に持ってきてしまったり、痴漢をしたり、道で放尿するなど、今までの社会的な規範から外れた行動をとってしまいます。この映画での男性の行動がまさにこのことを現わしていますね。

2.常道行動

いつも同じ行動を繰り返すことで、毎日決まったコースを散歩する、決まりきったものしか食べない、繰り返しひざをこすったり、パチパチと手を叩くなどの行動をずっと繰り返したりすることもあるそうです。

3.病識の欠如

病識が無いために、通院を拒んだり、デイサービスなどのサービスを拒否したりします。これは他の認知症にも共通して見られますね。

4.刺激に影響され易い

外からの刺激に対して、安易に影響されてしまうようです。目に見えたものを安易に触れてしまったり、張り紙を見つけると大声で読んだり、相手の人のしぐさや表情を真似したりすることが頻繁に起こってくるそうです。

5.自発性・意欲の低下

家事をしなくなったり、入浴、散髪、歯みがきをしなくなる、着替えをしない、などの特徴は他の認知症でも見られる行動なので、特に前頭側頭型認知症に限って起こることではありません。

鬱の症状と似ていますのでアルツハイマーなどの他の認知症でも、最初は鬱と診断されることがあります。また、鬱と認知症が同時に送る場合もあります。
しかしながら、意欲低下は高齢者の全般にわたってみられるので、それだけで認知症を決め付けることは出来ないですね。

「わたし」の人生(みち)は、前頭側頭型認知症をみごとに描ききった作品です。

映画を観ながら、改めて認知症と家族のあり方を見つめなおしてみるのも良いかも知れませんね。