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はじめに

私が神学校で説教学を学んでいた時のことです。

講師の岸義紘先生は
「たとえ大人向けの説教であっても、CSの子供たちでもわかるくらいに易しく噛み砕いて話しをしなさい。」
と教えて下さいました。

この物語は、その岸義紘先生の新約聖書注解シリーズNo.5「ガラテヤ人への手紙」をモチーフにして、
「中学生にもわかる」くらいに易しく解き明かすことにチャレンジしたものです。

そのために、中学科の教師とクラスの子供たちに登場して頂き、楽しい会話の中から
この「ガラテヤ書」という難解な書物を面白おかしく解き明かしていきたいと思います。

 彼らの話す内容はこの注解書に記された内容であり、先生が配布するプリントは
この注解書をコピーしたものです。
途中、あちこちに原書である注解シリーズの原文をそのまま貼り付けておきますので、
子供たちの会話だけでは読み解けない部分を補って頂ければと願っています。

どうぞ童心に返り、中学科のクラスの一員になったつもりでお読み下さい。

登場人物

助丸 知蔵 (たすけまる ともぞう)

本書の主人公。中学科の教師をしているが、あることをきっかけにクラスでガラテヤ書を教える事となる。
聖書の話しを始めると止まらなくなってしまう、優しい先生。

真理 学 (しんり まなぶ)

聖書のお話が大好きな中学生。
助丸先生に憧れていて、将来は献身して牧師になりたいと願っている。
聖書の話しになるととても中学生とは思えないような発言をする。

青空 晴美 (あおぞら はるみ)

自由奔放な女の子。クラスでは良く
発言をするのだが、ちよっとはずす
事もあり、クラスの良きムードメーカー
となっている。妄想に走る(?) くせもあるが、その発想力は他に追随を許さない。

緑原 哀 (みどりはら あい)

晴美とは対象的に、ほとんど発言することもなく、クラスでもつまらなそうに外の景色を眺めている。
家庭環境も不明で、自分の事も話そうとはしない。どこか ミステリアスな女性である。

目次 ―――――――――――――――――――――――――

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
登場人物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 プロローグ ・・・・・・・・・・・・・・・・・
 第1章 5W1H ・・・・・・・・・・・・・・
 第2章 パウロス・アポストロス ・・・・・・・
 第3章 テトスの危機 ・・・・・・・・・・・・
第4章 ああ、バルナバよ、お前もか・・・・・・
第5章 キリストを信じる信仰による義・・・・・
第6章 ああ愚かなガラテヤ人よ・・・・・・・・ 

プロローグ

私の名前は助丸知蔵。

自分で選んで助丸家に生まれたわけではないのだが、

小学生の頃から「お助け丸」とからかわれてきた。
知蔵も「ともぞう」とは誰も読んでくれない。

地蔵などと言われることもあるが、それは困る。

私は物心着いた時からクリスチャンだったのだから。

今は、鎌倉駅の傍にある「雪の山教会」で中学生クラスの教師をしている。

カレンダーも残り一枚となり、そろそろアドベントの準備に取り掛かろうかと忙しくしていた時だった。
廊下の向こうから「にこにこ」しながらやってくる子がいる。

真理学くんだ。きっとまた、聖書に関して質問があるに違いない。

「助丸先生、ガラテヤ五章十二節に

「いっそのこと不具になってしまうほうが良いのです。」
と書かれていますけど、どういう意味なんですか」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

私は、学ぶくんの鋭い質問に、思わず言葉を失ってしまった。

「えっ!  助丸先生でもわからないことがあるのですか」

「いやいや、どう説明したらいいのか考えてしまって・・・。

 つまり、「男性の大切なもの」を切り取ってしまいなさい。
ぐらいな、とても強い口調で書かれたものなんですね。」

「えーっ 聖書にそんなすごいことが書かれているのですか」

学くんが驚くのも無理はない。

「パウロにとって特別な手紙なんですよ。
イエス様の救いが「割礼」などの律法による儀式に置き換えられてしまうことの危険を、
この手紙を通して熱弁しているんですよね。」

そう答えながらひとつのアイディアが頭に浮かんだ。

「そうだ、今度の学びのテーマは「ガラテヤ人の手紙」にしましょう。

いつものように1章ずつ読んできて、わからないことがあったら書き留めてくるようにしましょうね。」

「えーっ! また宿題かよー。」

突然、後ろから声を掛けられ、戸惑いながら振り返った。やはりこの子か。

青空 晴美。

自由奔放なんだが決して悪びれてはいない。

「明るく楽しく元気な子」とは、きっと彼女のために作られた言葉に違いない。

「ガラテヤ人の手紙はものすごくユニークな手紙なんだよ。他の手紙には無い独特の表現で書かれているものなんだよね。
これぞ福音の本質というか・・・・」

「はいはい、すけ丸先生。了解、了解。」

わかった、わかったと言わんばかりに晴美さんが私の肩をたたく。

確かに、聖書の話しになると止まらなくなってしまうのは悪いくせだ。

でも、こんなに「にこにこ」しながら肩を叩かれると悪い気はしない。

(いや違う。私の名前は「たすけ丸」だ!)

「うん、そうしたら今度、プリントを準備するね。来週までに、ガラテヤ人への手紙の第1章を必ず読んできてね。」

楽しそうに帰っていく生徒たちを見ながら、私の心もうきうきしていた。
そう、ガラテヤ人への手紙こそ、福音の真髄。

律法学者に凛として立ち向かっていった「イエス様の心」であり
その意志を受け継いだパウロの命をかけた手紙なのだ。

第1章へ 続く

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第1章 5W1H